前回の記事でご案内できていませんでしたが、重要な点ですので、注意喚起のため、記事をアップしておきます。
遺産分割前の預貯金払戻し制度(民法909条の2)の経過措置についてです。
原則 旧法主義(相続開始時を基準)
先日7/1に施行された改正相続法の諸規定は、原則として、令和元年7月1日以降に死亡した相続に適用があり、それ以前の令和元年6月30日までに被相続人が死亡した相続には、以前の旧法が適用されます。
要するに、改正相続法・新法が適用される事案というのは、今月に入ってから亡くなった相続案件についてとなりますから、ここまだしばらくの間は、殆どの相続事案は旧法下での取り扱いがなされ、改正相続法・新法は関係がない、と思ってしまいがちです。
例外 新法主義(相続開始が施行日前でも適用)
ただ、預貯金の払戻しについては、
旧法下で開始した相続(令和元年7月より前に亡くなられた事案)であっても、これから預金引出しを行なう時には新法が適用され、単独で払戻しを受けることができる
こととなっています(法附則5条1項)。
つまり、これまで単独では預貯金の払戻しを受けることができずにまだ被相続人名義の預貯金が残っていて、遺産分割が終わっていない相続案件であっても、もう現時点で、各相続人は、民法909条の2の限度(一金融機関の上限150万円)はあるものの、一定額の払戻しを受けることができるようになったのです。
このように、預貯金払戻しは、旧法下で開始した相続も含めて全件スタートしています。
御自身が関与されておられる遺産分割事案におきまして、凍結中の預貯金口座がある場合には、一部の払戻しを受けることができますので、この点ご注意下さい。
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。